電動ファン化について

エンジンのレスポンスを少しでも良くしたいと考えた時、カップリングファンの撤去による電動ファン化はかなり有効な手段で、私の7MGTの場合、エンジンの吹け上がりはまるでバイクのような鋭さを実現できた。

良い事づくめに思えたが、バッテリーを動力源とする電動ファンのトラブルは即オーバーヒートとなるため、自動車の水冷システムの充分な理解と制御システムの考慮が必要だった。

エンジンの温度上昇に伴い、サーモスタットは常にこまめに開閉をして適正水温(サーモスタットの設定温度82℃)を維持している。

燃調やピストンクリアランスなど、エンジンはこの水温の時に最も良いコンディションになるように設計されていて、このバランスを崩すことなく電動ファンを設置、制御しないと改善はおろか調子の悪いエンジンに悩まされる羽目になる。

最悪の場合はオーバーヒートでエンジンを壊してしまう事もあります。

ちなみに3リッターエンジンで熱量も大きい私の7MGTの場合、電動ファンに要求される風量はかなりのものとなった。

最終的に選んだのはFLEX-A-LITE社のデュアルファン425B。

これは汎用のデュアルファン210をベースに、アメリカでMA70スープラ専用品として販売されていて、おそらく市販では最強の部類に入る風量を持っていて、風量は2500CFM(立方フィート毎分)、消費電流は20A。

ところが20Aの大電力によってバッテリーとオルタネーターへの負担が相当なものになってしまい、オルタネータを純正の65Aから130Aの強化品に、バッテリーは充放電効率の良いドライバッテリーに変更する必要があった。

制御はトラストのマルチスイッチングシステムを追加して片側のファンは65℃以上で回転、もう片側のファンは80℃以上で回転するように制御。

暖気が終わると片側のファンは常に回りっぱなしとなるようにした。

これは完全に停止しない純正カップリングファンと同じように常に風を送り続けないと、急激に温度が上昇してしまい制御がオーバーシュートしてしまうからだ。

水温センサーはサーモスタットハウジングへ設置。

アッパーホース側ではサーモスタットが閉じたら温度が上がらないし、ロアホース側では冷却が間に合わないので必ず純正サーモスタットの上流(エンジン側)で計測する必要があるのです。

さて、これだけの多額の費用をかけて電動ファン化を行ったにも関わらず、MA70はブーストアップ1.2キロでエアコンが使用不能、1.6キロでサーモスタットが開きっぱなしとなってしまった。

やはりカップリングファンの風量には叶わないのです。

つまり3000ccのMA70を電動ファン化した場合はノーマルエンジンならどうにか使える程度と言った結果となり、対費用効果から見てもあまり良い改造とはなりませんでした。

現在は純正カップリングファンに戻し、カップリングオイルのメンテナンスをしながら普通に使っています。

今、電動ファン化を考えている方の参考になればと思います。