R154用の社外ミッションオイル
70スープラに搭載されるR154型トランスミッション。
もう新品供給もなくなってしまい、オーバーホールしながら使うか中古を使い回すしか選択肢がないのが現状だ。
また、R154型のように熱の溜まり易いトランスミッションは温度の上昇と共にフィーリングが悪化して行くのはどうしても避けられない。
実はドラッグレース用の70スープラにはミッションオイルクーラーとTILTON社の電動オイルポンプを設置して対策してあり、高負荷時にも問題なく使えていた。
しかし、ミッションケースの改造に加えて外付けのオイルクーラーやらオイルポンプやらで結構高額の改造が必要となってしまい、ストリートカーにはちょっと大袈裟過ぎる。
そこで少しでもフィーリングの向上と延命をするために巷で評判のギヤオイルをストックのR154型トランスミッションで使ってみたので感想を書いてみます。
5120LSD 80W-120 和光ケミカル
和光ケミカルの機械式LSD対応のギアオイル。
LSDオイルとして購入した際に随分残ってしまったので、もう一本買い足してミッションにも投入してみた。
どちらかと言うとLSD性能に振っているためか、使い込んだミッションでは特別にシフト感が向上するといった感じもなく普通の印象。
ミッションの音はLSDに使用時と同様で静かめで好感が持てる。
ワイドレンジなのでオイルの温度が上昇しても潤滑性能もまあまあ。
スムーズに効く機械式LSDオイルとして使い、併用で純正ギヤオイルの代用程度に使うのなら経済的で良いかも。
MT-90 レッドラインオイル
ミッションオイルの良し悪しと言うのはLSDなどに比べて判断が楽だ。
軽くシフトが入って熱ダレが小さく、安ければ良いと思う。
だが、実際のところは巷で「良い」と言われるギヤオイルはどれも高価で、使い込んだR154ミッションに使うのにはちょっとコストが上がり過ぎる。
そんな中、安価でも条件を満たしてくれているのがアメリカのレッドラインオイルです。
シフトフィールは軽快でシフトミスも減った。
回転マスの小さい強化クラッチとの相性も良く、小気味良いシフトが決まる。
オイルの温度変化にも影響を受けにくいようでなかなか良いと思いました。
この理由はレッドラインオイル全般に使われるエステル系のベースオイルがかなり貢献しているようです。
但し、このエステル系のベースオイルは吸湿性が高く、一度水分を含んでしまうと性能の劣化が通常のオイルに比べて早いです。
雨の多い日本では1シーズンくらいで明らかにシフトフィーリングが悪くなって来るので早めの交換が必要です。
それでも潤滑性能には全く不自由を感じないので私のR154型ミッションには定番となっています。
数万円の中古ミッションを数千円のオイル投資で使う。
このくらいが古い車で遊ぶにはちょうど良いと思います。
疾風 72.5W-82.5 アタックレーシング
もの凄く良い」と言われるギヤオイルも一度は経験しておこうと思い、使い込んだ古いミッションでも評判の良い物を探してみた。
そこで見つけたのがアタックレーシングと言うマイナーなオイルメーカー。
何でも添加剤によるオイルチューニングで飛躍的な性能向上に成功しているらしい。
実は私自身は添加剤入りを謳うオイルであまり良い経験がないのです。
一抹の不安を覚えたのですが、ここはユーザーの皆さんの華々しいレビューを信じて使ってみることにしました。
さて、こちらのオイルのラインナップだが、名前からして疾風(はやて)と勇ましい。
更にグレードも「匠」とか「極」とか凄いネーミングである。
今回のテーマは「もの凄く良い」なので最上位の「極」を使ってみました。
それにしても凄い価格だった。
都内では東雲のオート○ックスで取り扱っていたのだが、メカニックのお兄ちゃんに70スープラに使いたいと言った時の顔は一生忘れないだろう(笑)
相当使い込んだシフトの渋いR154型ミッションでどこまで変わるのか?
結果から先に書くと、酷かった5速の引っかかりもなくなり、3速のギヤ抜けもなくなった。
また純正のギヤオイルに比べてシフトが驚くほど軽くなった。
特にシフトダウンは軽く回転を合わせてやるだけで2速から1速にもポンと落とせる。
3、4速ではクラッチが不要なほど。
熱ダレは感じるものの最初のシフトフィーリングが抜群に良いぶん、全体に潤滑性能がかさ上げされている感じで好印象だ。
経済性さえ考えなければ本当に素晴らしい性能だと思う。
しかし、これもあくまで添加剤による改善なので消耗による性能低下は必ずやってくる。
私のアタック入りミッションもシンクロの寿命と共に終了となった。
例えば古い外国車のトランスアクスルなど、恐ろしく高価なミッションを大切に使うのならコストは見合うのだろうと思うが、解体屋で数万円で買えるR154型ミッションなどには、やはりもったいないと言うのが私の結論。
690 オメガオイル
こちらはレース用のGr.Aドグミッションにも使っていた有名なオメガオイル。
ちなみにそのドグミッションはクリアランスの大きいスパーギア(平歯車)を使っているので、普通の粘度のギアオイルではギアをニュートラルに抜く事もできなくなってしまう。
75W-250などと言う途方も無い粘度のオイルを使ってギアを油膜で浮かせて作動させる仕組みだ。
外見はまるで赤い水飴のよう。
さて、この690も大変高価なオイルだけあって性能は素晴らしい。
純正トランスミッションに使っても良い働きをしてくれる。
特に高粘度のものは温度上昇に強く、高ければ高いほど熱ダレも感じなくなる。
但し、高粘度の場合は冷間時にシンクロの回転が重く、シフトが渋く重くなるので、充分にオイルを暖める必要がある。
通常のエンジン暖気+ミッション暖気走行と言った感じ。
私の経験では街乗り主体なら75W-140くらいがちょうど良いと思います。
高粘度で使い方と乗り手を選ぶオイル。
価格から考えるとやはりこれもサーキット走行やレース用ですね。