ホイールナット

エアロトップ用に注文してあったRAYSのスチール貫通タイプの17HEXレーシングナットが届いていた。

私はもう10年近く変わり映えもせずにこのナットを愛用している。

ここでちょっと独善と偏見に満ちた独り言・・

実は、巷で流行のジュラルミン系ナットだが、私はストリートではどうしても使う気になれない。

それと言うのも本職でスチールやアルミ系合金の強度計算をしていたので、材料特性を知っているからだ。

ジュラルミンは強度試験ではクロモリ鋼に匹敵し、しかも軽い。

しかし、実はその強度と言うのは切削加工直後の最も条件の良い状態での強度測定値なのである。

クロモリ鋼に代表される高張力鋼(スチール)は金属疲労の進行に明確な限界点を持っていて、一定の力と回数で構成する金属疲労試験の曲線はある回数から平行となる。

もちろん設計強度を超えるトルクを与えると当然破壊するけれども疲労破壊ではない。

普段からきちんとトルクレンチで管理をしていれば疲労限界点以下で使っているので、理屈では何百回使おうが金属疲労では壊れないと言うことになる訳です。

さて、アルミ系合金と言うのは金属疲労の進行に限界点を持たない。

一定の力を繰り返し加える試験では金属疲労曲線はリミットを持たない比例直線になる。

つまり力を与えるごとに疲労は蓄積され、組織が脆くなってやがて破壊する。

しかも、それは何の前触れもなくやって来る。

メーカの設計値では100回や200回は大丈夫だろう。

本当に怖いのは規定トルクを超えた締め込みを繰り返した場合だ。

金属疲労は早く進行し、疲労の多いネジ部から突然ゴソッと剥離する訳です。

例えばインパクトレンチ。

使い方を誤ると一瞬にして規定トルクを超えてしまう。

そもそもトルクレンチにしても設定した締め付けトルクを超えたのはわかるけれど、オーバートルクの管理はできない。

ましてやタイヤ交換などでパーツ量販店などに持って行って、誰にどんな締め方をされたかさえわからないのではいつ壊れるかなんて予想もできないのだ

タイヤが取れて転がって行ったなんて漫画みたいな話も実際に耳にしたこともある。

そんな訳で私はアルミ合金系のホイールナットを使わないのです。

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