クリスマスの出来事
「世の中には自分に似た人が3人いる」と言うが、同じコンセプトでドラッグマシンを作る人などはいないだろうと思っていた。
ところが最近、私の動画にポーランドの方からひとつのコメントが寄せられた。
そしてそのコメント主の動画を見て驚かされた。
彼の作り上げたドラッグ仕様のMA70はあまりに私のドラッグスープラと似ていたからだ。
もちろん真似た、真似されたなどと低レベルな話ではない。
高回転が苦手な7MGT型エンジンの長所短所を考えた上で、アメリカで主流のドラッグATとキットパーツを輸入し、ドラッグレース用のMA70を私と同じ時期に遠いポーランドで作っていた人がいたのである。
とにかくこれは嬉しかった。
私もMA70では日本に前例のない改造へのチャレンジだった。
誰にも教えてもらえないし、誰も知らない。
仲間からは「こんな得体の知れないミッションを積んでトヨタのGr.A用ミッションより速く走れるのか?」と聞かれて不安になった事もあった。
ショップの協力で載せ換えまでは終わっても、問題は山積みだった。
ATFの温度管理やドラッグスタートの方法、制御などわからないことだらけで、まともに勝負できる車が完成するまでに結局2年以上もかかってしまった。
彼もきっと同じ悩みを抱えながらスープラを作っていたに違いないと思うと、本当に嬉しくなってしまった。
動画に映されている彼の車のコクピットには私が試行錯誤をしながら盛り込んできた、ATシフターやステアリングスイッチ、メーターパネルなどが同じように並んでいた。
つまり、私の進んで来た道は間違っていなかった。もちろん彼もだ。
遠く日本から離れた彼への最上級の敬意を込めて、完成した私のドラッグスープラの走行動画をクリスマスプレゼントとして贈ることにした。